航 空 無 線 専 用 1 1 8 - 1 3 6 M H z  無 電 源 ラ ジ オ

製 作 の 手 引 き

最終更新日 2019年 6月 17日


すき家 自家用機

2019ハムフェアでの展示品として準備中!
AMモードで聴く事が出来る航空無線専用ラジオはどうでしょう!
航空無線バンドでの無電源ラジオはあまり例が無いと思います。

AM変調方式は中波ラジオや短波放送だけで無く、航空無線では未だに使われています。
一番簡素な方式で回路的にも簡単というのは言い換えれば信頼性が高いと言えるかも分かりません。

航空無線の出力は10Wらしいので、ホットスポットというより空港の一部でしか聞こえない可能性が非常に高いです。
とは言え、無電源ラジオで聴く事が出来たら面白いと思いませんか?


基本回路は中波帯ゲルマニウム・ラジオと同じです。
検波用ダイオードはNEC 1SS99 ショットキーを使うので、無電源ラジオとしています。
1N60などのゲルマニウム・ダイオードでも検波するかも・・
しかし検波効率は良くないので、最初からショットキーを使う方が賢明です。

製作には、1SS99  UHF検波用ダイオード を推奨します。
 
他のダイオード 東芝 1SS154   4個\150   秋月電子通商  メーカー資料 1SS154.pdf
SMDで小さいので取り付けが難点だが、性能は悪くないと思う。

NEC 1SS99 資料    1SS99.pdf

1SS154 と 1SS99は接合容量がほぼ同じ 0.9pf   0.8pf max なので、リード線タイプの1SS99の方をお勧め

部品セット化は良質なバリコン( ポリ・バリコン )が入手出来ないので、今後の課題としています。


急遽、このラジオを計画した背景には・・・
2019年3月 Yahooニュースより転載
AM放送を廃止しFM放送に転換できるようにするため、民放連が総務省に制度改正を求める方針を決めたことが22日、関係者への取材で分かった。
FMによる補完放送(ワイドFM)に一本化したい考え。

この報道により、もうゲルマニウム・ラジオで聞けない、災害時にゲルマニウム・ラジオが使えない、AM放送帯でFM放送をすれば?
NHK( 民放ではないのに )もAM放送がなくなるのか・・・などいい加減な投稿が掲示板などで散見されました。
ゲルマニウム・ラジオ( 無電源ラジオ )はAMしか復調できないと思っている人も多くいます。
FM放送もスロープ検波でちゃんと復調が出来ます!
過去にFMラジオは製作済み、短波帯もあるし、では航空無線はどうかと言う流れに。
ただ空港周辺でしか聞こえないかも! 航空無線も無電源ラジオで聞ければ面白いぞ!
早速、試作を開始しました。

超再生ラジオとは違い、不要な電波は出しません。
安全第一の航空無線にも影響なく、受信出来るでしょう。

基 本 回 路 図 を 基 に 各 自で ア レ ン ジ し て く だ さ い 。



● 同 調 コ イ ル の 例

キャパシタンス、インダクタンスを入力すると共振周波数を計算してくれるページです。

http://www15.plala.or.jp/gundog/homepage/densi/keisan/lc/lc.html

空芯コイルならインダクタンス測定周波数は数MHz帯でもそれほど差は出ないと思います。
配線の浮遊容量に気を付ければOKと思いますが。

●市販コイルを使う場合

市販の完成品コイルを使う場合、FM放送帯のコイルか144MHz帯コイルで同調コンデンサを調整すればエアバンドに使えます。
市販コイルは各自で調達し、色々と試してください。   こちらでは市販コイルは使用していないので質問はしないでください。

FCZコイル( 販売終了 )      資料はこちらから一部抜粋させて頂きました。  https://www.jarl.org/Japanese/7_Technical/lib1/fcz.htm



他に千石電商販売のAMZコイル、サトー電気でも同等品がありますが、これらのコイルは各自で評価が必要です!

amz_data01.pdf AMZコイルの仕様

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ここからは自分で巻くコイル

どの程度巻けば良いか?  始めに適当に巻いてみて、インダクタンスのチェック

インダクタンスを測定する場合、使用する周波数で測定できるLCRメーターがあれば文句なしですが、空芯コイルなので
10kHzとか低い周波数で測定しても値はそれほど変わりません。

● 空 芯 コ イ ル       0.45mmポリウレタン線 径:  8mm    巻き数:6回
8mm径のパイプできつめに巻くと、ちょうど良い感じに出来上がります。
検波用にタップは下側から2回目にしましたが、2 - 3回で最適値の調整が要るかもわかりません。

※スズメッキ線は表面の錫部分の抵抗値が高いのでポリウレタン線が良いです。 スズメッキ線で巻くと感度が悪くなります。
 
タップの部分は該当部分だけを半田メッキします。
 実際に使用する線材はUEW ポリウレタン線 線径:0.8 - 1.0mmがお勧め。


製 作 例      右側に銀色に光っているのがタップ部分
上記データで巻くと5MHzにおいて0.25μH程度です。 
最初にバリコンを入手して、コイルを決めるのが良いです。
実際に回路を組んでから、間隔を調整して目的の周波数に合わせます。



● エア・トリマ  エア・バリコン  ポリ・バリコン

秋葉原でも小容量のバリコンを探すのが大変です。   入手するのが一番のネックです!
5PF程度の物が入手出来れば楽です。  
10PFの場合は10PFを直列接続して5PF相当にする方が同調範囲の点でやりやすいと思います。
FMラジオ用のエア・バリコンでは直列にコンデンサを接続すれば使いやすくなります。

ポリ・バリコンでも可能なので、各自の入手状況で決めてください。

4PF エア・バリコン     最初の試作品です。
最初はこのバリコンで作ってみようかと。  最大4PF  最小2.5PF   変化量1.5PFと少ないのが難点です。
コイルのインダクタンス0.45μHにすると、最低118MHz 最高150MHz程度の同調範囲になります。
コイルの径を大きめにしてQ値を稼いでみます。



径15mmのパイプにこれくらいだろうと適当に切ったら0.40μHで少し隙間を縮めたら0.45μHに。


GND側から2ターン目にダイオードを半田付け、出力側は1000PFを介して最短距離に。
あとは実際に受信してコイルの幅を変えて調整


まず、実際の回路で周波数範囲の確認
15mm径のパイプに6回巻いたコイルではバリコン最大容量で108MHz 最小122MHzに。


巻き数を5回にして同調範囲を調整するも、今度は高くなりすぎなので・・
バリコンに1PFを並列接続してコイル幅を調整して、最大130MHz 最小118MHz程度になりました。
これで同調部を終わりにして、今度はロッドアンテナとの結合部分を考えます。

基本はゲルマニウム・ラジオと同じなので、製作は見ての通り簡単です!

一番の難関は同調周波数の調整作業です。

検波部分も半田付けしてからディップ・メーターで同調周波数を確認。
ディップ・メーターを使うのが一番簡単な測定方法。
実際に回路を組んで、同調周波数をイヤホンでモニターします。
( ディップ・メーターに変調回路が内蔵されているか、変調可能な機種である事。)


三田無線 DELICA    X-VHS   1.5 - 230MHzを6バンドでカバー



ディップ・メーター 動作中!

このディップ・メーターには変調回路が無いので、自作した外部変調器(右の黄色シール)で変調を掛けています。
※ 外部変調器は、茨木悟氏著のグリッド ディップ・メーターの使い方を参考に製作
製作したラジオを少し離して変調音が一番強くなるところが共振点です。
目盛は年代物なので、周波数カウンターで最終確認が必要。  大きくズレてはいないと思いますが・・

製造後約50年経過して、どの位ズレているかチェックしてみました。


ディップ・メーターの目盛を120MHzにして118.74MHzです。
航空無線の周波数帯で調整するなら、目盛の位置は120MHz - 138MHzの範囲で。
下限を120MHzに設定し、上限はバリコンとコイルの幅調整次第となります。
半世紀前の測定器だから、優秀ではないかな。


そ の 他 の バ リ コ ン


中古・取り外しの5PFエア・バリコンを入手したので、1歩前進状態 2019-04-29



端子に線をからげて半田付けしてあるので、取り外して清掃
取り付け金具付きだが、シャフトが短めなので延長シャフトを使うか?


左の長さ30mmを予定



30mm延長シャフトを取り付け
ツマミが取り付けできないので延長シャフトは必須


 

何年か前に見つけたシャフト付き 小型バリコン max,4PF
ツマミも大型にして廻しやすさを狙う。 約53mm径 
こまめに長期間探さないと見つからないのが難点


ローコストを狙うなら・・・FM用2連ポリ・バリコン  20PF
これなら壊れても直ぐに取り替えが効くのでお勧めかも。 しかし、良質な物が入手難!




プリント基板用 10PFトリマ
溝がある部分に2.6mmネジとスペーサーを組み合わせて半田付け。 ダイアル・ツマミに接続できる工夫が必要
素材は銀メッキなので半田は容易  国内某無線機メーカーで使用している国産で品質は良好です。
回転させるには堅めなので大型ツマミが望ましい。



● 基 本 回 路 を 組 み 立 て る     製作サンプル品


 
今回は100 X 100 X 15mmの木板にアルミ板を組み合わせた。



アンテナ結合コイル部分     コイルはタイト製端子に取り付け
アース部分は1.5C2Vの外被を利用 銅なのでスズメッキ線よりは良好なはず。
コイル端子に10PFを半田付け



出力トランス ET-30   12.5k:50k   ( サンスイ ST-30相当品 )


組み立てが完成したところ   ツマミは45mm径で廻しやすい  
緑のビニール線は1.2mのラジアル・アースとして、またはBNC芯線側につないで簡易ループとして








ロッド・アンテナを取り付けるとこんな感じ

最 終 確 認
●同調部の周波数範囲を再調整 ディップ・メーターで変調を掛けて   
●アンテナ結合回路の周波数調整 ディップ・メーターで変調を掛けて

さて、羽田で聴く事が出来るでしょうか?

現場は離発着時の騒音が大きいと予想されるので、事前の対策が必要です。
セラミック・イヤホンを両耳タイプにする。
出力に小型アンプを接続し、ヘッドホンで騒音の影響から逃れる。


118 - 136MHz ロッド・アンテナ


BNC型ロッド・アンテナ 延ばした全長約120cm



ハ ム フ ェ ア 展 示 用 の 最 終 形 は


FM放送帯 76 - 90MHz / 90 - 95MHz( ワイドFM ) FM変調
航空無線帯 118 -136MHz              AM変調

2バンド 2モード( AM / FM )対応の無電源ラジオを予定しています。


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